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PROJECT STORY

八戸港八太郎・河原木地区航路泊地(埋没)浚渫工事

2021.08 取材

PROLOGUE

実証実験を繰り返して生まれるみらい建設工業の新技術

海洋土木・陸上土木ともに、ICTを取り入れながら、工事の生産性向上や高品質化を図る動きが高まっています。新しい技術は解決したい課題があってこそ生まれるものであり、完成するまでに何度もブラッシュアップを繰り返して、世に送り出しています。
それでは現場ではどのようにして新技術が生まれるのでしょうか?実際に新技術の実証実験をおこなった八戸港の浚渫(しゅんせつ)工事の技術担当者と現場担当者がそれぞれの立場で語ります。

MEMBER

  • 工事担当当時 現場代理人
    現職 施工本部工事第二部
    1996年入社
    吉江 真一
  • エンジニアリング部
    1987年入社
    泉 誠司郎

STORY

昭和30年代から継続して実施八戸港の浚渫工事

浚渫工事とは、海底に流れ出てきた土砂を取り除き、船舶が安全に通れる深さを保つ工事のことです。島国の日本では、河川を通じて山から流れ出てきた土砂が少しずつ港に溜まっていくため、毎年、工事するエリアを分けて計画的に浚渫工事がなされています。大型船舶が寄港できたり船が安全に運航したりするためにはなくてはならない工事として、私たちの手がける海の工事の中でも継続的に行われているものです。

しかし、その工事は海の中で実施されるものであり、陸上からは目視できないことが何年もの課題でした。八戸では年間4~5万㎥(50mプール20杯分!)もの土砂を吸い上げているので、毎年少しずつ新しい技術を取り入れて業務効率化を図っています。

「昔は水中カメラを使って海の中を見ていましたが、透明度が高い海水で光が入ってこないと使い物になりません。潜水士に潜って見ていただくこともありましたが仕事の時間が限られています。技術革新によって、こういった制約はすべてなくなり、24時間いつでも海中の確認ができるように進化しています」と、八戸の浚渫工事の現場代理人を務める吉江は話します。

技術開発の後方支援を行うエンジニアリング部の仕事とは?

現場の声に耳を傾けて、新しい技術を開発する部署として、エンジニアリング部があります。ここでは技術開発に加えて、工事現場への技術提供・履行支援などを行っています。さらに、開発した技術を国土交通省が管轄するデータベース「NETIS(新技術情報提供システム)」へ登録することで、建設業界全体の技術の底上げにも寄与することが仕事の目的です。

「私は長年、現場で働いていました。だからこそ現場の課題が分かり、新しい技術で工事をサポートすることの大切さを理解しています。『より良い仕事をするために私たちに必要なものは何か』と課題解決の方法ばかり考えています」と話すのはエンジニアリング部の泉。

八戸港の浚渫工事は、昭和30年代から私たちが担当していることもあって、言ってみれば「海のことを知り尽くした現場」。海の環境、土砂の性質、工事の難所など理解していますし、協力会社のスタッフともいい関係性ができているので、技術の実証実験を行うには素晴らしいフィールドです。プロトタイプをつくっては八戸で試用するなど、現場とエンジニアリング部でタッグを組んで取り組んでいます。

6キロに及ぶ排砂管位置・距離はすべてGPSで確認

海上工事の特徴のひとつに「生態系への配慮」があります。それぞれの港によって違いはありますが、八戸港の工事は鮭が港にやってくる前に工事を終了します。

海の生物のことも考え、限られた期間内で効率アップを図るためにGPSと超音波を活用した新技術、「4Dエコー」、GPSを活用した「海上浮体設備位置管理システム」、「i-ShipNavi 船舶運航支援システム」を導入して行われました。(詳細は下記)

「いままでは現場監督がその都度測量をしていたことがシステムによって効率良く管理ができるようになりました。八戸の浚渫工事においては、排砂管という土砂を送る鉄製の管を6km組み立てることが大変でしたが、随分楽になりましたね」と吉江。

「工事担当者から、今まで時間のかかっていた作業が簡単にでき、効率が上がったという声を聞くとうれしいですね」と泉。

日本の港の機能と安全を守る維持・修繕の仕事があること。またそれらの仕事も日々システム化していること。積極的にデジタル化を推進して効率化を図ること。

このように私たちの建設現場では、日々新技術が積極的に取り入れられて、より早く正確に、そして安全な工事になるために、常に技術力を底上げしています。

取材の最後に泉は笑顔でこのように話していました。「技術のブラッシュアップはエブリディ!」 建設業界の技術革新は、まだまだこれからが楽しみな領域です。

TECHNOLOGY&SDGs

見えない海の中が手に取るようにわかる「4Dエコー」

4Dエコーは、超音波を使用して海中を可視化するシステムです。いままでは潜水士が潜って、海底に設置した排砂管に異常がないか目視で確認していましたが、大型船が航行するときには危険が伴っていました。このシステムを使用することにより、安全で正確に確認ができるようになりました。

測量の手間が大幅減少「海上浮体設備位置管理システム」

約3.3kmもの排砂管を海上で正しい位置に沈めていくことは、工事の難所です。この技術は、GPS位置情報を発信するスマートフォンを排砂管に設置して、監督職員が乗船する船のパソコン上に、計画位置と現在位置をリアルタイムに表示させるものです。
測量作業がなくなることで、監督職員の業務量を大幅に減少させることができました。

海上事故を防ぎ作業効率アップ
「i-ShipNavi 船舶運航支援システム」

「i-ShipNavi 船舶運航支援システム」とは、船の運航情報を一元管理できるシステムです。一般船舶を最優先にした運航ができ、作業船の回避運航や待機の指示を適切に行うことができます。
この技術を活用することで海上衝突事故が防げるほか、施工がしやすくなるメリットがあります。

WORK FLOW

  • 2018年5月

    契約

  • 2018年5月

    工事着工

  • 2018年6月

    土砂配送用管組立

  • 2018年7月

    ポンプ浚渫船運転

  • 2018年10月

    土砂配送用管解体

  • 2018年10月

    次の工事のための浚渫土砂処分地盛土

  • 2018年12月

    竣工

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